2016/03/13

書評&裏話的な。「人工知能は私たちを滅ぼすのか --計算機が神になる100年の物語」

以前の職場で同僚だった、児玉哲彦くんがこのたび本を出版することになりました。


※画像は児玉くんのブログから
タイトルは
人工知能は私たちを滅ぼすのか―――計算機が神になる100年の物語


実は児玉くんがこの本を執筆中に、少ーし関わらさせて頂いたので
一足早く読んだ立場からの感想と、あと裏話っぽいことを書こうと思いました。


タイトルがなんだか仰々しいですが、かなり広いターゲットの人に読んでほしいんだなと感じる内容です。

副題に「100年」とあるとおり、20世紀におけるIT技術の勃興から今日まで、
そしてその先にある、人工知能が世界に「当たり前」に存在している世界を、 SF映画っぽさを出さずに描いた本。

「広いターゲット」は本音の感想ですが
書かれてる内容がとっつきやすいか?というと違和感がある。
でも、「人工知能」「IT技術」に関心があるなら、途中で脱落せずむしろ楽しく読める。

むかし、小難しい「哲学」というジャンルをなるべく平易に、
歴史の流れに沿って書いた「ソフィーの世界」という本がありました。
あそこまで分厚くはないけど、ちょっと近いかもしれません。
難しさと易しさのバランス感でいうと「ダヴィンチ・コード」とかも近い。


児玉くんとの付き合いはもう5年半になりますが、
「豊富な知識」を持ち、「偉大な先人への敬意」を大事にし、
自分が拘っている分野の「照らす未来は明るく正しくあってほしい。という想い」が強い人だな、と常々感じます。

そして「丁寧に伝えよう」と本人は頑張ってるんだけど、
結局「熱意と妄想とエゴが爆発して饒舌」になる人。

この本は、上記「」で囲った部分がそのまま出ています。
熱意と妄想とエゴが爆発し、児玉くんは饒舌になる代わりに10万文字を疾走します。
音楽ジャンルでよくありがちな「20世紀のロックスター列伝」みたいな本です。
著者がロックを好きすぎるあまり、書かれてる内容が異様に熱を持っている。アレです。

彼が学生時代に出会った「コンピューター」や「線形代数」は
ジョンレノンや、ボブディランや、カートコバーン、マイルス・デイヴィスのようなものなのかもしれません。
以前一緒にSxSW(サウスバイサウスウエスト)というアメリカのイベントに行った時、僕らはとあるバーでブルース・スターリングという作家に会いました。

その時の児玉くんの興奮っぷりは凄まじく、まさに小さい頃からのギターヒーローについに出会えたミュージシャンのようで、小さい頃からテクノロジーの進化とその先に見えてくる新しい世界に接していた、彼の「根っこの部分」を垣間見たような気持ちになりました。

この本を個人的にどういう人に一番読んでもらいたいか、考えると
中学生とか高校生が読んでくれたら嬉しいなと思います。

読み終わった後に、生まれて初めての衝撃的な1曲に出会ったあと、ギターをかき鳴らしたくなる。
みたいな感じで
プログラム言語や線形代数をかき鳴らしたくなる奴とか出てきたらいいなあと思いました。

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以上本編(感想)おわり。

以下↓だらだらとした裏話。
(軽いネタバレあるんで、避けたい方はブラウザ閉じてください)
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去年の夏、児玉くんから
「いま実はこういう本を書いてるんだけど、どう展開すべきか迷ってる。
 いま書き上げたとこまで読んで、感想とか意見がほしい」
と連絡をもらいました。

面白そーなテーマで書かれた内容だったんで二つ返事すると、pdfデータが届きました。
「6つにファイル分割された」pdfデータが。

ちょっと読んでほしい、という言葉、
そして単著で初めて本を書いた。ってことで、
軽い文庫本サイズかな?と勝手に思い込んでたら。

「、、、これ何文字あんの?w」
「まだ校正前だけど、現時点で85,000字」
「85,000字wwwwwwwww」

読み始めると結構すらすらいけて。
2日か3日で読み終えました。

最初に読んだ時、第5章まで完成してて、
ちょうど20世紀のIT技術の変遷が世界にもたらした変化、が書き終わった段階。
つうことで、僕は主に第6章以降にちょこちょこ関わってます。

「読み終わったよー」
「どうでした?」
「19世紀終わりくらいからの近代史とか、ITとか好きな人には面白いんじゃないかな。で、このあとどう展開するの?」
「ここから人工知能が作り出す世界、その先のシンギュラリティ、と展開するイメージなんだけど」
「なるほど過去から今日まで来て、今から未来を描くのね。えーと個人的にはですね、、、」

ここから
「聖書からの引用は、好き嫌いが出そうだね」
「AIの先にあるものは、決して西洋だけでなく、人類が知と意識の研鑽の途中で見つけていたものと繋がる多様性とか?」
「賢さとは何か」
「2030年を舞台に、どういうトピックを取り上げるか」
「俺はAIはひとりひとりに付くジョジョのスタンドみたいになると思ってるフシがある」
「AIに順応できてる奴と、順応できてないそいつの親世代がいる同時代性」
「個人がさらに細分化されてモジュール化する、いま融け合う過度期っぽいよね」
「ネットワークへの接続性高めるために、人類の個における鍵ってオープンでモジュールだと思うんだよ」
「テクノロジーの可能性を感じてそこに身を投じていく人が増えるべきよねー」
とかいう話を交えて、主にどんな人が出てきて、どんな生活をしてるべきか?
の話を2人でたくさんしました。


マリという女性がこの本に出てきます。
彼女の、自分自身を投影は出来ないけど、兄弟か親戚にはいるかな?いそうだな、いやギリギリいないかな?の感じと
「マリという名前」の部分に、関われたのが、個人的には楽しかったです。

児玉くんとのやりとりが、チャットに残ってたんでカウントしてみると、3〜4万文字くらいありました。
その中には、途中「あれ読んだ?」と会話の中にたくさんの書籍も出てきたので、
それを一気に紹介して、このエントリー終わりにします。

テクニウム――テクノロジーはどこへ向かうのか? ケヴィン・ケリー

ハワード・ラインゴールドの著書いろいろ

NEXT WORLD―未来を生きるためのハンドブック NHKスペシャル「NEXT WORLD」制作班

華竜の宮(上) (ハヤカワ文庫JA) 上田 早夕里

【漫画】真説 ザ・ワールド・イズ・マイン 新井 英樹

2030年 世界はこう変わる アメリカ情報機関が分析した「17年後の未来」 米国国家情報会議

消滅世界 村田 沙耶香

魔法の世紀 落合陽一

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