2016/10/12

ありがとうございました。最高でした。

画像は公式サイトから。

ブンブンサテライツの川島さんが10月9日に永眠しました。
既に5月に公式ブログで発表されていた内容
を見ていたので、正直そう長くはないと思っていました。

活動が終了、という事実よりも
上記のリンクにある
正確な意思の疎通が難しいので、今彼が何を考えて何を思って毎日を過ごしているのか、僕でも少し理解しきれない時があります。
という中野さんの文章があまりに重すぎて、衝撃的過ぎて、
もうそこまでの状況にあるんだ・・・と思ってました。


ここからおっさんの昔語りをします。

---
最初はたしか17年前。
当時僕は音楽活動をしながらフリーター生活で、昼夜が逆転するような生活をしていて、
夜中に、NHK-BSをだらだらと見ていたら、知らない2人組のアーティストが回るヨーロッパツアーを密着取材する、というドキュメンタリー番組が放映されていました。

そこで聞いた曲に衝撃を受け、次の日CDを買いに。
テレビから流れていた曲は「DIG THE NEW BREED」
CD屋にあった視聴機で流れてきたのは「PUSH EJECT」でした。



2000年、ぼくはとある家電量販店に勤めてました。
何がきっかけかは忘れましたが、フジロックにブンブンサテライツが出るというので
1日だけ日帰りで、職場の同僚と苗場に行きました。

仕事を終わらせて夜中に出発し、明け方苗場着。
仕事明けでほとんど寝てないなか、暑い昼過ぎのホワイトステージで
はじめてブンブンサテライツのライブを体験しました。

ずっと居たかったけど、帰れないとまた次の日も仕事だ。
グリーンステージのヘッドライナーを横目に、駐車場に戻ったのを覚えてます。
プライマルスクリームがやってたなー。
その次の年から、毎年3日間フル参戦するのが何年も続きました。



2003年、ぼくはIT会社に転職しました。
転職して2か月後、いまはなき渋谷AXでライブをやるというので
はじめてワンマンライブを仕事終わりに観に行きました。

ライブが終わった後、もう疲れ切って帰るのも面倒だったので、
オフィスに戻り、ぼーっとしていると、右腕が死ぬほど痛いことに気が付きました。
ライブ中、気が付かないうちに右腕を脱臼していました。
ライブの余韻に浸り、オフィスに戻ってきて、数時間経ってやっとそのことに気が付きました。



2011年、僕はとあるスタートアップ企業で働いてました。
広報・PRの担当だったので、たまにメディアに取材されたりもしました。

ある日、FMのラジオ局から「先進的なテクノロジーを使ってる企業の人を取り上げたい」と出演依頼が届き、なぜか僕が出ることになりました。
そして事前に「あなたにとってのテクノロジー」をテーマになにか曲をリクエストしてくれ、という謎の質問事項がありました。

ブンブンサテライツの「PUSH EJECT」という曲を、と返信して出演当日を迎えました。

有名なラジオパーソナリティの方のリードで、とくに問題なく出番が終わりかけたとき
「最後に、1曲テクノロジーをテーマに挙げてもらえませんか?」というフリが。

ああ、ここで使うのか、と思い
「あ、はい。ブンブンサテライツのPUSH EJECTという曲を」というと
「なるほど!ちなみに、なぜこの曲を選んだんですか?」と聞かれました。

は?
理由?理由もいうの?そんなの事前の質問事項に無いよ?と一瞬頭が真っ白になりかけ、

「あのう、テクノロジーって生身の体と融合して初めて大きな意味を持つものだと思っていて
僕にとって、それを体現してる曲がこれなんです」と完全アドリブで答えました。

テクノロジー企業の広報さんが平日昼のFMラジオに出て、たどたどしくトークした後
10年以上前に発売された、15/8拍子に乗せたダンスミュージックを紹介する。
しかも謎の一押し理由まで添えて。

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今日、川島さんの訃報に接し、ツイッター上を色々検索してみました。
"PUSH EJECT"というワードで検索したところ、

「知らない場所に連れて行ってくれる存在だった」
というニュアンスのことを言ってる人が何人かいました。

もちろん最近の作品もライブも好きだけど、
なんというか、初期(アルバムでいうOUT LOUD、UMBRA)の感じは

本当に、わけのわからないところにいつの間にか
気が付いたら連れてかれる感覚があったんです。
しかも、(腕が脱臼したことに気が付かないくらい)踊り狂いながら。


好きなアーティスト挙げろ、と言われたら500組くらいはさらさら挙げれる自信はあるんですが
訃報にふれて、こういうブログを書かずにはいれないアーティストがあと何組いるかな、

ということを考えながら書きました。

公式サイトから引用
「そして、最後に一言だけ言わせてください。ブンブンサテライツでした!!」
http://www.bbs-net.com/

ありがとうございました!最高でした!

2016/10/03

映画「怒り」を観た後に、原作を読んだ。(ネタばれ無し)

画像はeiga.com/から引用

映画を見て、あとから原作読んだんですけど。
この作品に関してはその順番(映画→原作)がおススメかも。


理由は後述。


作品内では、3つの物語が平行する。東京・千葉・沖縄
(※警察の動きも入れれば4つ、なんだけど原作ほどフォーカスが当たってないので3つ。)


1.千葉:漁港で働き男手ひとつで娘を育てる

(渡辺謙、宮崎あおい、松山ケンイチ)

キーワード「負い目」
とにかく負い目を感じている。

狭い田舎で、すぐに娘に関するうわさや悪評が出回る。
それと戦い娘を守ろうとしても仕方がないと我慢する父親

自分が人と違うことを薄々わかっていて、自分を大事にしないし、
自分を大事にしてくれる人はおそらくいない、という考えに至っている娘

本当は、自分の娘が幸せな人生を歩めると思っていない父親
自分みたいな女に好意を寄せる男は、まともなやつなわけがないと思っている娘

何かの恐怖や警戒心を常にまとわなければ生きていけない、
というオーラを全身から放っている若い男


2.東京:ひょんなことで共同生活をはじめるゲイカップル

(妻夫木聡、綾野剛)

キーワード「諦念」
みんな諦めている。

病気の母親は、もう長くは生きれない。
好きな男と一生過ごしても、社会通念上そいつと一緒の墓には入れないと思っている。

たくさん楽しい予定を入れ、おいしいものを食べ、踊り狂っても、何も楽しくないと実はわかっている。

妻夫木の冒頭のセリフで
えーもう少し居ましょうよ、俺なんてもう「楽しいフリしてるのが楽しい」ってレベルまで来ちゃってますから
ってのと、中盤の
予定いっぱい入れて、毎日バタバタしてるのが楽しいと思ってたんだけど」
があるんだけど、このセリフで全部表してるよなーと思った。
東京で楽しいフリして毎日を送ってるやつ100万人くらい殺す威力ある。


3.沖縄:無人島で暮らす男と、知り合った若い2人

(広瀬すず、森山未來、佐久本宝)

キーワード「閉塞感」

作品見終わってまず思ったこと
なんで映画のポスターとかに佐久本宝くん入ってねえんだよ!入れるべきだろ!!

これ。

辰也役の佐久本宝くん凄い。無名でほぼ演技経験無い新人らしい。ほんと?
この映画、辰也君いなかったら成立しないじゃん。と思った。

とにかく景色がきれい。素晴らしいロケーション。
一度でも南の島・離島に訪れたことがあるなら
「ああーいいなあー」と自分の記憶にある美しい風景と重ねられる。


けど、実際はどこまでも抜けるような青空の下に、
無限に続く青い海のように、
絶望的で閉塞的な世界が広がっていること、が描かれる。


なんの成果も生まない社会活動に精を出す父親を見る息子
不平不満がある、好きじゃない。けど、それを母親に伝えない娘
とある事件が起きる、それを警察に届けたとしても「何も変わらない」とわかっている人たち


何も変わらない、
なにも意味がない、
どうせみんな興味ない。
せめて景色が綺麗でないと、息苦しくて窒息しそうな空間。


◆原作と映画の違い


原作・・・犯人が誰なのかを意図的にわかりやすく描き、それを踏まえた人間の心境を描く。
読者が先に真実を知る「神視点」

映画・・・犯人捜しのミステリーがメインではないが、後半まで誰が犯人かはわからない。
見ている側も「同じタイミング」で真実を知る。

この違いが、原作が好きな人は映画の評価があまり高くない理由だなと思う。

でも、ここに映画版最大のポイントがある。

映画は、登場人物がそれぞれ怪演といえる演技を披露し、1時間半くらい経つと
もう見ている側は誰かに(下手すると全員に)感情移入してしまう。
原作を読んでいない人は

「せめて○○だけは殺人犯ではなかった、となってほしい・・・」

「そうじゃなきゃ、あいつがかわいそうだよ・・あいつのためにも人違いであってよ・・」

となる。俺もなった。

終盤、原作にも登場する「ある男」が取調室で刑事相手に話をはじめる。
怪しい、一見してヤバいとわかるオーラをまとっている。

「もしかしたら3人とも犯人ではなくて、こいつが真犯人なのでは?」と思えてくる。

思えてくる、というかそうあってくれという目で「その男」を見てしまう。

原作を知らず、どっぷり感情移入した客にとって希望の光。

ただ怪しいだけで、謎なだけで、3人とも殺人なんてしていなかったのかもしれない。

そう、せめてこんな世界なんだから、目の前の人が殺人犯なんてやめてくれよ。

と思ったところからの、

真犯人が本性を現していく展開が素晴らしい。
これは原作を先に読んでいては味わえない感覚。


◆映画観た人、原作読もうぜ


映画を先に見て原作を読むと
「えっ、なんでそんな露骨に誰が犯人なのかわからせちゃうの?」
という点に不満はある。

俺も読みながら「えっ、はやっ!」って口走った。
でも、「文字によって表現し、読者側の脳内に想像させる」という手法の醍醐味がある。

沖縄で起きる事件の描写、
漁港で働く親父の心境、
充実した生活に見えて巨大な空洞を心の中に持つ男。

役者が巧かろうが、脚本や演出を駆使しようが
映像で見せたら固定化しちゃうもの、映像で見せにくいもの。
原作の最大の魅力。

あと、映画版では省略せざるを得なかった
・なぜ、父親は娘を大事に思いつつどこか負い目を感じでいるのか
・東京で暮らす男はなぜ、空洞を心に抱えているのか
・沖縄に住む女の子は、(たとえ事件が起きてなかったとしても)母親をどこか冷めてみているのか
を描いてるし、

事件を追う刑事の心境、
東京で暮らす男の「理解あるからこそ空しさが増す」家族、
漁港で働く父親のいい相談相手となるいとこの過去
など、

結局メインキャスト8人以外も、全員もれなく
「信じたいけど信じられない、そんな自分が好きになれない」
を背負っていて、

映画見た後に
本当はあの2時間半に入らなかっただけでこういうことなのか。
と楽しめる。

映画を低評価する原作ファン最大のポイントはここだろうな。こんなに省略されたんじゃそりゃ微妙だわ。


でも、「犯人が誰なのかが明確になり、そいつが本性を現し、迎える結末」の描写は
映画版のほうが、個人的には好きです。


最後に。
映画もしくは原作を読んだ人にしかわからない、
”壁に書きなぐられたような”文章を書く。

映画みて、原作と違うって怒り狂ってるやつがいた、
ネットでレビュー書いて評論家気取り、ウケる。
自分の世界観が侵されるのが嫌ならわざわざ観んな


2016/03/13

書評&裏話的な。「人工知能は私たちを滅ぼすのか --計算機が神になる100年の物語」

以前の職場で同僚だった、児玉哲彦くんがこのたび本を出版することになりました。


※画像は児玉くんのブログから
タイトルは
人工知能は私たちを滅ぼすのか―――計算機が神になる100年の物語


実は児玉くんがこの本を執筆中に、少ーし関わらさせて頂いたので
一足早く読んだ立場からの感想と、あと裏話っぽいことを書こうと思いました。


タイトルがなんだか仰々しいですが、かなり広いターゲットの人に読んでほしいんだなと感じる内容です。

副題に「100年」とあるとおり、20世紀におけるIT技術の勃興から今日まで、
そしてその先にある、人工知能が世界に「当たり前」に存在している世界を、 SF映画っぽさを出さずに描いた本。

「広いターゲット」は本音の感想ですが
書かれてる内容がとっつきやすいか?というと違和感がある。
でも、「人工知能」「IT技術」に関心があるなら、途中で脱落せずむしろ楽しく読める。

むかし、小難しい「哲学」というジャンルをなるべく平易に、
歴史の流れに沿って書いた「ソフィーの世界」という本がありました。
あそこまで分厚くはないけど、ちょっと近いかもしれません。
難しさと易しさのバランス感でいうと「ダヴィンチ・コード」とかも近い。


児玉くんとの付き合いはもう5年半になりますが、
「豊富な知識」を持ち、「偉大な先人への敬意」を大事にし、
自分が拘っている分野の「照らす未来は明るく正しくあってほしい。という想い」が強い人だな、と常々感じます。

そして「丁寧に伝えよう」と本人は頑張ってるんだけど、
結局「熱意と妄想とエゴが爆発して饒舌」になる人。

この本は、上記「」で囲った部分がそのまま出ています。
熱意と妄想とエゴが爆発し、児玉くんは饒舌になる代わりに10万文字を疾走します。
音楽ジャンルでよくありがちな「20世紀のロックスター列伝」みたいな本です。
著者がロックを好きすぎるあまり、書かれてる内容が異様に熱を持っている。アレです。

彼が学生時代に出会った「コンピューター」や「線形代数」は
ジョンレノンや、ボブディランや、カートコバーン、マイルス・デイヴィスのようなものなのかもしれません。
以前一緒にSxSW(サウスバイサウスウエスト)というアメリカのイベントに行った時、僕らはとあるバーでブルース・スターリングという作家に会いました。

その時の児玉くんの興奮っぷりは凄まじく、まさに小さい頃からのギターヒーローについに出会えたミュージシャンのようで、小さい頃からテクノロジーの進化とその先に見えてくる新しい世界に接していた、彼の「根っこの部分」を垣間見たような気持ちになりました。

この本を個人的にどういう人に一番読んでもらいたいか、考えると
中学生とか高校生が読んでくれたら嬉しいなと思います。

読み終わった後に、生まれて初めての衝撃的な1曲に出会ったあと、ギターをかき鳴らしたくなる。
みたいな感じで
プログラム言語や線形代数をかき鳴らしたくなる奴とか出てきたらいいなあと思いました。

--
以上本編(感想)おわり。

以下↓だらだらとした裏話。
(軽いネタバレあるんで、避けたい方はブラウザ閉じてください)
--

去年の夏、児玉くんから
「いま実はこういう本を書いてるんだけど、どう展開すべきか迷ってる。
 いま書き上げたとこまで読んで、感想とか意見がほしい」
と連絡をもらいました。

面白そーなテーマで書かれた内容だったんで二つ返事すると、pdfデータが届きました。
「6つにファイル分割された」pdfデータが。

ちょっと読んでほしい、という言葉、
そして単著で初めて本を書いた。ってことで、
軽い文庫本サイズかな?と勝手に思い込んでたら。

「、、、これ何文字あんの?w」
「まだ校正前だけど、現時点で85,000字」
「85,000字wwwwwwwww」

読み始めると結構すらすらいけて。
2日か3日で読み終えました。

最初に読んだ時、第5章まで完成してて、
ちょうど20世紀のIT技術の変遷が世界にもたらした変化、が書き終わった段階。
つうことで、僕は主に第6章以降にちょこちょこ関わってます。

「読み終わったよー」
「どうでした?」
「19世紀終わりくらいからの近代史とか、ITとか好きな人には面白いんじゃないかな。で、このあとどう展開するの?」
「ここから人工知能が作り出す世界、その先のシンギュラリティ、と展開するイメージなんだけど」
「なるほど過去から今日まで来て、今から未来を描くのね。えーと個人的にはですね、、、」

ここから
「聖書からの引用は、好き嫌いが出そうだね」
「AIの先にあるものは、決して西洋だけでなく、人類が知と意識の研鑽の途中で見つけていたものと繋がる多様性とか?」
「賢さとは何か」
「2030年を舞台に、どういうトピックを取り上げるか」
「俺はAIはひとりひとりに付くジョジョのスタンドみたいになると思ってるフシがある」
「AIに順応できてる奴と、順応できてないそいつの親世代がいる同時代性」
「個人がさらに細分化されてモジュール化する、いま融け合う過度期っぽいよね」
「ネットワークへの接続性高めるために、人類の個における鍵ってオープンでモジュールだと思うんだよ」
「テクノロジーの可能性を感じてそこに身を投じていく人が増えるべきよねー」
とかいう話を交えて、主にどんな人が出てきて、どんな生活をしてるべきか?
の話を2人でたくさんしました。


マリという女性がこの本に出てきます。
彼女の、自分自身を投影は出来ないけど、兄弟か親戚にはいるかな?いそうだな、いやギリギリいないかな?の感じと
「マリという名前」の部分に、関われたのが、個人的には楽しかったです。

児玉くんとのやりとりが、チャットに残ってたんでカウントしてみると、3〜4万文字くらいありました。
その中には、途中「あれ読んだ?」と会話の中にたくさんの書籍も出てきたので、
それを一気に紹介して、このエントリー終わりにします。

テクニウム――テクノロジーはどこへ向かうのか? ケヴィン・ケリー

ハワード・ラインゴールドの著書いろいろ

NEXT WORLD―未来を生きるためのハンドブック NHKスペシャル「NEXT WORLD」制作班

華竜の宮(上) (ハヤカワ文庫JA) 上田 早夕里

【漫画】真説 ザ・ワールド・イズ・マイン 新井 英樹

2030年 世界はこう変わる アメリカ情報機関が分析した「17年後の未来」 米国国家情報会議

消滅世界 村田 沙耶香

魔法の世紀 落合陽一

2016/03/01

無くなる仕事と、新たに生まれる仕事


IT業界に来る前に、3年弱ほど流通業界で働いていました。
5年ほどふらふらとフリーターをしていた中、勤めたバイト先で正社員にならないか?と言われ、
秋葉原の家電量販店で、店員をしていました。


ちょうど、ECという市場が拡大期にあたる時期で、
僕が勤めてた会社は、国内でもいち早くネット通販で売上を拡大していた企業のうちの一つでした。

当時は、Eコマースという言葉よりも「クリック&モルタル」という謎の用語があったりして、
ネット通販の勢いは凄まじかったものの、実店舗の売上が全社的には売上の重要な部分を担っていたし、無店舗型・ネットのみの店舗なんてのは、まだ限定的なもの。という雰囲気だったのを記憶してます。


週末セールや繁忙期のセールの準備を整え、
忙しい時期は17日連続出勤という、今考えると結構な激務をこなしていました。


店舗に立ち、接客し、数万~数十万円の買い物を決断させる。
店員として優秀か否か、の判断は「販売数・売上数」であり、それ以外には

秋葉原という街に買い物に来る客への対応力
・どれだけ深い商品知識を持ってる人とも対等に渡り合える知識
・初心者の人にも、専門用語を使わずわかりやすく説明し、背中を後押しする力
のどちらか1つ、もしくは両方を持っているか?が大事だった。

僕は完全に後者で勝負するタイプで、専門知識を求めているお客さんの時は
正直に説明し、速やかに接客を変わってもらっていた。

仕事を通じ、言葉の裏に隠された本音を察知する嗅覚、言葉を交わす前の、身なりや持ち物や目線の動き方から、収入や可処分所得に対する考え方を洞察する能力を養った。

端的に言えば、「売ってなんぼ」の世界


当時、2人の先輩社員がいた。
Aさんはスポーツマンタイプで、頭はそんなに良くないけどとにかく社交性があって、商品知識は素人。でも体育会系のノリで頑張るので、フロアマネージャーまで出世してた。

Bさんは、外見も中身もオタク。勤続年数が店の中で一番長く、商品知識はまさに生き字引のよう、社交的な性格では無い上に出世もあまり興味が無さそう、というか人間関係が少し不器用で、現場で僕と同じ一般職のままだった。


3年働いたなかで、2つ特に覚えてることがある。

Aさんは、フロアマネージャーになったけど、商品知識も無く売上拡大の施策もどこか的外れで、よく怒られていた。
いろいろと担当フロアを回された挙句、最終的にスタッフ数を増やし始めた「Eコマース部署」へと異動になった。


Eコマース部署は本社勤務なので、Aさんと会うこともなくなったが、
半年ほど経ったある日偶然駅前で会った。
いつのまにかEコマース部門のリーダーになっていた。

「ちょっとお得なキャンペーンを用意したら、目の前で何十人、何100人がどんどん買っていくんだよ」
「キャンペーンの準備は大変だけど、接客の手間も無いしレジ打ち間違えは無いし、商品は勝手に発送されるし、俺Eコマース向いてるわー」

この話を翌日、店長に「昨日Aさんに会いましたよー」と話すと、店長はちょっと不機嫌になった。
「売ってなんぼ」の社内で、Aさんのチームは既にうちの店舗全体の売上を超えていた。



Bさんは、毎日淡々と病気もせず無遅刻無欠勤で出社し、接客をしていた。
週末セールは、大量の商品が入荷するので、販売員総出で倉庫に搬入する。

長年の仕事の影響からか、Bさんは腰痛持ちだった。
僕が重量20kgを超えるコンテナを倉庫に搬入すると、Bさんが倉庫内の棚にデスクトップパソコンを運んでいた。

棚に運び終わったあと、Bさんは苦しそうな表情で腰を押さえていた。
「大丈夫ですか?」と声をかけようとした瞬間、Bさんは振り向いて「おう、それそこに置いといていいぞ」と言った。

Bさんの年齢は、たしか僕の10歳年上だった。
毎日あまり何も考えず脳天気に働いていた僕は、突然Bさんと自分の10年後の姿を重ねた。

「俺は、10年後も重い商品を倉庫の棚に陳列するのかな?」
「それとも、店長職やエリアマネージャーとかになって、そういうことはしなくなるのかな」


僕はAさんと駅前で話し、Bさんが倉庫で辛そうにしてる姿を目撃した約3ヶ月後、
知人の紹介によって、とあるモバイルサービスを提供するITベンチャーに入社した。

モバイル業界はその後飛躍的に市場を拡大し、
そのITベンチャーは、僕が退職する時、入社時に比べて社員数・売上規模ともに12倍になっていた。


僕はEコマースが今後伸びることや
実店舗の販売ビジネスがネット通販に押されて苦しくなること、
モバイルサービスが飛躍的に、世界的に伸びること、

どれ一つとして、予測もしてなかったし、そういう情報を発信してる当時のメディアも見ていなかった。
ITベンチャーの面接をするときも「知人が楽しそうに仕事してるから」が理由で、事業内容は1ミリもわからなかった。


というか、ごくごく一部の、一握りの「これからはITだ!」と気付き、いち早く勝負を賭けた人達以外、当時そんなことに気がついてる人はあまりいなかった気もする。


新しい潮流を、半信半疑に見ていた人、
新しい手法で事業を拡大し自分達の立場を脅かす存在を、苦々しく見ていた人、
僕みたいに、脳天気に暮らしてて、そんな変化にも気が付かなかった人。
「あんなものは一過性のものだ」と、存在を認識しつつニヤニヤと見ていた人。


ちなみにその家電量販店は、僕が辞めた数年後にとある大企業に買収された。

AさんもBさんも、いま何をしているかは知らない。
2人共辞めた、と聞いたのは覚えてる。


人工知能によって奪われる仕事、たぶんある。

IoTによって何かが救われる人、たぶんいる。

VR技術によって生まれる仕事、たぶんある。

どれも全部、たぶんある。


そして、どこを切り取ってもスナップショットの一つでしかなく
動画の中の一瞬を切り取った一コマは、素敵な一瞬や残酷な一瞬を捉えてるかもしれないけど、
次の瞬間はもう別のコマになっているので、点には本質的な意味はなく線で繋がれることで意味をなす。


新しい技術や市場によって、自分に向いた仕事に出会うAさんも
新しい技術や市場によって、体力的にきつい仕事から開放されるBさんも
どっちもいるだろうし、

全体のトレンドが、個人の運命を決定づけることなんてこれからも無いんじゃないかな。
もしそういう人がいたら、その人は外的要因のみによって運命を決められてしまう人なんだろうな。
ということを

雑誌や中吊り広告で「10年後に無くなる仕事!!!」みたいな見出しを眺めながら思った。

2015/09/14

自分をモジュール化する、っていう働き方について



ベンチャーとかスタートアップ界隈だと、起業したとかフリーランスになりましたとか。もはや珍しくもない感じだけど
それ以外の業界でも、必ずしも企業に雇用される働き方じゃない選択肢が増えたなって思う。

クラウドワークスみたいなクラウドソーシングの仕組みの発展もそうだし、
結構お堅い感じに思われてた業界でも、それなりに経験とスキルを積んだ人がその後独立するケースをよく見る。
人材業界、コンサル業界、制作会社、マーケティング、プログラマー。

一方、僕はこの会社に所属し、勤務する「会社員」という立場ですが、
大企業が副業OKにしはじめたり、在宅勤務・リモートワークOKな会社も増えてきて、
・企業に所屬から毎日同じ職場
・フリーランスだから自由な時間と働く場所
みたいな単純な二択でも無くなってきた。


■ちょっとしたご報告

んで、本題入る前に書いておかないと忘れる気がするので、
ここでちょっとしたご報告なんですが、ぼく最近やることを1つ増やしたんです。

クラウドファンディング展開中(※ぜひご支援を!)の低価格ホームセキュリティ製品のプロジェクト

このプロジェクトのマーケティング中心にいろいろお手伝いしてます。
といっても、いままでどおりこちらの会社にも所属し週5日働いてます。

簡単に言うと、空き時間で新しいこと始めたという。
元々うちの会社は原則副業禁止なのですが、後述するメリットなどもあり、経営陣がGOサインを出してくれたんです。
色々なことに前例がないベンチャー企業ではあるものの、原則的なルールがある中で決断してくれた経営陣に感謝してます。

で、プチ報告はこれくらいにして、本題の「自分をモジュール化すること」の話に繋げます。

僕が彼らのプロジェクトに合流した理由というのは、
「簡単に言うと空き時間活用」と書きましたが、別にお金目的では無いです。
最初のきっかけは、プロジェクトの中心人物に旧知の知人がいて、そいつから
「YOU、手伝わない?」って言われたからなんだけど

決め手は、ちょうど声をかけられた時に僕が考えていたことを実践するのにいい機会だと思ったからです。
それがこのブログのタイトルに付けた「自分のモジュール化」で、このプロジェクトに参画することでそれを試せるなと。

物事にはタイミングというものがあって、
それはなんとなく肌感覚で
「あ、来たな」「ああ、これ今ってことだな」と思ったら深く考えずさっと動くことが大事だと思っているので今回もそうしました。

ここでいう「モジュール化」の説明するのに、
これ偶然なんですが、先日公開された記事が引用しやすいなと。
「貼るだけホームセキュリティ」のSecualが実践するマイクロタスキングは、スタートアップの採用難を解消するか【連載:NEOジェネ!】
http://engineer.typemag.jp/article/secual_neo
ここでは、エンジニア中心のプロジェクト推進の手法として、タスクを徹底的に細かく砕く「マイクロタスキング」という話が展開されてるんですが、これ非エンジニアな人にも通ずるなと思ってるんです。


■僕もあなたも複数のモジュールで構成されている


例えば。
自分ができることや既に持ってるもの、を箇条書きにしてみてください。
スキルだけでなく、得意なことや苦にならないことや自分のバックボーンとか。

・エクセルの集計とかが早くて得意。長時間やってても平気、とか
・ソフトさえあれば簡単な画像加工ができる、とか
・細かい性格なので、チーム内で誰かがタスクを忘れた時に指摘できる、とか
・以前の職場で業務上のつきあいがあったので◯◯分野の研究をしてる人とのつきあいがある、とか
・親父が行政に勤めてるから、自治体とか地方自治について自然と知ってることが多い、とか
・移動が楽しいから、誘われたらいろんなとこにフットワーク軽く顔出す、とか
・よくわからないけど、なんか同年代のやつより知り合いが多い、とか

なんかこういうの。

書き出してみると、大半の人が「2種類以上」何かしら書き出せるはず。
この書きだした「1行単位」の「自分の特性」を「自分の内側に搭載されているモジュール」だと捉える。

そのモジュールを組み込むことが出来る場で、フレキシブルに活用する。という考え方。

で、一方普段のお仕事ですが。
恐らく大半の人が「自分の持つモジュールを全てフル稼働させて業務に勤しんで」いる状態には無いと思います。

むしろ、忙しければ忙しいほど、「どこか1種類のモジュール」のみフル稼働させて、あとは休んでる状態、なんじゃないだろうか。

それって、もったいない無いというか、もっと適切なサイズに砕いたらどうなるのかなと。

自分をマシンに置き換え、アウトプット(出力)を捉えてみると、
特定のボタンや部位だけがギュンギュン動いてるけど、別の部位はずーっと休んでる、

購入して5年経つテレビのリモコンに、一度も押したこと無いボタンってあるじゃないですか。あんな状態。
外部刺激による受信(インプット)も似てて、特定の何かに忙殺されていると、
本当はアンテナ張っておきたい領域のことにいつの間にか疎くなって、まずいなーって思ったりするじゃないですか。

周りのフリーランスで仕事してる人、特に非エンジニアな人と近況を話し合ってたりすると
記事を書いたり、サービスのコンセプトを思案したり、必要な人を周囲から巻き込んだり、同時並行で異分野なプロジェクトに参加してたりして、
「うまく自分の中にあるモジュールを活用してんなー」と思ったりする。

そうやって色んなとこに顔を出し、色々なことに参画し、それがまた次のモジュールを生成する、最初はライターとしてウェブメディアに文章書くだけだった人が、取材を通じて特定分野の人と繋がり、今度はそっちでイベント運営に関わり、すると紙媒体からオファーが来て、今まで扱ったこと無い題材に取り組み、その取材を通じ新たな知見を得て、、、
の繰り返しで、5年前に知り合った時と比べてモジュールのバリエーションが全然多様になった。みたいな人。というかこれ江口くんのことだな



■これは個人の働き方の話をしてるわけではなく、大げさにいうと社会における実験みたいな感じ

ぼくは、こういう感じの循環システムみたいなものを、「会社員でありながら」実践してみたかった。
フリーランスであれば、一度に複数のプロジェクトに参画したり、プロジェクトごとに求められる役割が変わるのはよくある話ですよね。

1企業に所属しながら、
自分の持つモジュールの活用度を高めて、
別のプロジェクト(要は副業)で得た知見がまた勤める企業側に還元されていく

むしろ、「これ」と「これ」の2つをやってます、という【複合】が、
仕事を1本に絞った時よりも、遥かにどちらのプロジェクトに対しても何かしら良いメリットを生み出す。という


えーとつらつら文章書いてますけど、ぼく別に【個人の働き方】の問題提起や近況報告をしたいわけではないんですよ。

この「個人」という存在を更に適切な単位に砕いて
「モジュール化する」という手法が増えたほうが
社会的な利益というか、
簡単に言うとイノベーションが起きたり市場の創出に繋がると思ってます。

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※ブログの途中ですが、ここから突如堅い話を展開しますので、

ここで一息つくために、ブログ筆者による

「最近テレビを見ていて、異様に気になること」

をご覧ください

↓ ↓ ↓ ↓
「なんかー、最近の多部未華子さー、めっちゃ色っぽくない?なにあれ?すげえな!」

以上です。それでは残りの文章をお楽しみ下さい
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ここから展開する話は、色々な事象を観察した上で
「ぼくのなかにふわっと存在する仮説」なんですが

既存の単位って、ここまで社会が成熟してしまうと
「ちょっと色々と大きすぎる」と思っていて

時間、人材、会社の意思決定、技術や権利、ビジネスモデル、、、、
もうあと一段階砕いて「モジュール化」したほうが色んな局面で正しくフィットするなと。

これは前述のエンジニアTYPEの記事で、語られているエンジニアのチーム組成の発想に近いです。



■おいしく食べるなら、無理やり口に押しこむんじゃなくて、ちょうどいいサイズにカットしようか

既存のサイズが大きすぎてフィットしないものって、見渡すと世の中のニュースになってるものもある。

例えば、企業同士が業務提携しましたとか、国や行政が新しい仕組みを取り入れようとする時とかに、あまりその後の展開がうまくいかない、少なくとも提携した時にお互いが描いてたプラスのイメージには至ってない、みたいな話って

双方の意思決定とか、その裏側にある懸案事項とかが
「融合させようとした時に大きすぎるからうまくハマらない」
ってケースが結構ある気がしてます。

互いの強みを持ち寄って、、、って最初は言うんだけど、
適切なサイズに砕いてないからパズルのピースを嵌めようとすると角が当たって入らない。
みたいな。

「大きいもの」
(大企業とか、国とか、大規模な研究機関とか、世界的な投資会社とか、500万人以上が暮らしてる都市とか)

を「大きいもの」(大企業とか、国とか、大規模なああもう以下同文)

と融合させ、発展的な何かを生み出す時、
パズルのピースが嵌らなくてダメでしたー!じゃなくて、
どうにか実現に持ってくには

大きなビジョンを持ったカリスマ人物も、
大きな意思決定や執念のような実行力も大事なんだけど
それを支える機構・原理の部分は、実は現状よりも小さい単位で結合されてるんじゃないかな、と思うのです。

マシンに組み込まれている小さなパーツやモジュールは、
一応2015年現在において、役割を果たすだけで自ら思考しないんだけど
(10年後は知らん。あーこの話がこの文章の中で実は一番やべえな)

このモジュール部分が機械じゃなくて人間である場合、
パーツ自体が思考して相互関与し、うまく大きなマシンを駆動させるための役割を果たすことができる。
これを実現するためには、仕組み的な話も前提にあって、

・プロジェクト管理における細かいタスクのチケット駆動型とか
・関与する人たちがリモートワークで個々の役割を果たす素養とか
 (secualプロジェクトはほぼ全てリモートのやりとりです。)
・参加してる人たちが当事者意識を自然と持つ仕組みとか
・それを実践できる契約形態や意思決定

まあいろいろあるんだけど

サッカーの本田じゃないけど、まずは個なんだよな。
フリーランスなのか会社勤めなのか学生なのか海外在住なのか、とかどうでもよくて機会が来た時に実践する気が本当にあるのか、とか

面白い話があった時に、提示する契約形態や、提供できる話やノウハウ、自分に負担を掛けないバランスの取り方、が出来るのか出来ないのか。


社会が未成熟な段階では、
基本的にマクロのグラフは右肩上がり、もしくは伸びしろのある状態なので「昨日までうまくいってたやり方」を今日上手に実践する、という方法でやれるんだけど


社会が成熟して、成長曲線が頭打ちになった時、
昨日までうまくいってたやり方の中から
「そのままでは今日以降もう使えないもの」と
「その中から本質的な原理だけ抜き出して、一見形を変えて今日以降も活用するもの」
をうまく分類したり、


仮説検証とかPDCAサイクルとか呼ばれてるものも
「思ったサイズよりもう一段階」砕いて、
スピード早くプロセスを進ませるやり方とか(これ、リーンって呼ばれてる手法なのかも)

そういうのを考えながら、とりあえずsecualもアスタミューゼもどちらも未来に対して重要なポイントを突こうとしてるプロジェクトなので、
うまく自分をモジュール化しながらやってこうと思います。

なので、これからもみなさまよろしくお願いします。
あと多部未華子マジでなんであんなに色っぽくなったのか誰かおしえて下さい。


以上